2006年03月09日
あっせん制度について
終身雇用制が崩壊し、会社に対するロイヤリティー(忠誠心)が薄れるとともに、沸き起こってきたのが個別労働紛争です。

平成13年に「個別労働関係紛争解決促進法」が施行され、労働局の紛争調整委員会でのあっせん制度を利用しての紛争解決も年々増えつつあります。

福岡県だけでみても、平成16年度の労働局への労働相談件数は5,569件、あっせん受理件数は229件にもなります。

ひと昔前までは、多少納得がいかないことがあっても「生涯雇われる会社だから」と穏便にすませていたことも、現在では、紛争へと発展してしまうこともあるのです。

労働問題の内訳は、「解雇」「労働条件の引下げ」「パワーハラスメント」など様々ですが、根本を辿ると、労使双方の感情に行き違いが原因であることが意外に多いように思います。

そして、感情のもつれは当事者同士では、収拾がつかなくなることがほとんどです。

仮に裁判になれば、双方の心の溝は深まるばかりですし、お金も時間もかかり、結局どちらも救済されないことになってしまいます。


そこでできた制度が、労働局での「あっせん制度」です。

あっせん委員は、労働法に詳しい弁護士や大学教授で、双方の言い分を聞いた上で、あっせん案を提示してくれます。

手続きは極めて簡単で申請書を提出し、原則1回の陳述で、あっせん案が提示されます。弁護士や社会保険労務士が代理人として陳述することもありますが、当事者だけでも十分に活用できる制度です。

裁判所の判決のように白黒つけるのが目的ではなく、双方お互いにゆずりあって折り合いをつけるものですから、比較的穏便な解決が期待できる制度です。


現時点で「あっせん申請」は、ほぼ労働者側からなされているということですが、これからの時代、使用者側にもとってもメリットは十分にある制度だと思います。



〒811-1302
福岡市南区井尻3丁目10-12
政都ビル410号
TEL 092-584-9688 FAX 092-584-9689

 
ボットからトラックバックURLを保護しています