第6回 特定社労士試験 総評
  第6回 紛争解決手続代理業務試験 
        〔 総 評 〕


※「合格予想問題集」又は「直前対策講座」をお申込みいただきました先生方には、『解答速報(解答例、予想配点及びくわしい解説)』を12月4日(土)にメール便にて発送いたしております。

                      
 
 第6回本試験は、大問2題、小問7題のすべて論述形式で、第1問が労働問題について労働者と使用者双方の言い分を読み取りながら解答するもの、第2問は特定社会保険労務士の権限と倫理に関して依頼者からの依頼を受任できるかどうかについて、結論と理由を答える問題で、過去5回の試験と同様の従来どおりの出題形式でした。
 
出題スタイルや設問パターン、出題範囲に大きな変動はなく、過去問や当会の予想問題集及び第6回 直前対策講座(DVD)で十分に対応できる設問でした。 

第1問・・・

  今回は、試用期間の解雇に関する問題で、過去5回の出題も、解雇又は雇止め等退職に絡むテーマであったため、対策がとりやすい出題だったといえます。
  小問(1)の「求めるあっせんの内容」を記述する問題は、地位確認に関するもので、毎回の出題ですので確実に得点したいところです。
  小問(2)の具体的主張事実に関する問題は、試用期間の解雇においても、労働契約法第16条の「客観的合理性」及び「社会的相当性」を満たす必要があり、判例法理から要求される具体的事項を整理して記載していくと解答しやすかったと思います。
5項目中3項目は得点したいところです。
  小問(3)は学歴詐称が解雇理由となるための要件、小問(4)は就業規則の「周知」のための要件に関する知識を問うもので、いずれも裁判例まで踏み込んだ知識が要求されるやや難易度の高い問題でした。
  小問(5)は、本件紛争の解決に向けて、「法的見通しの考察」及び「解決の方向」について問うもので、過去の裁判例等を踏まえて裁判ではどのように判断されるのかという客観的かつ冷静な分析・予想と、それを踏まえた上での代理人としての解決の方向を考えさせる問題でした。
 
  特定社労士として、法知識及び実務能力を判断することに重点をおいた出題内容であることに変わりはなく、問題の難易度は過去5回と比較して標準的であったといえます。
 

第2問・・・  
  特定社会保険労務士の権限と倫理に関する問題です。依頼を受けることが「できる」「できない」ということよりも、社会保険労務士法第16条(信用失墜行為の禁止)とその中でも特に厳格に制限された法第22条(業務を行い得ない事件)及びこれらに関する通達の理解、法令間の均衡等の検討過程を記述することに重点をおいた出題でした。
  
  小問(1)は、紛争の相手方法人の常務取締役が近親者(弟)であった場合、どのような問題点が想定され、法第16条に照らして法的制限を受けるべき事案かどうかを検討していきます。論点はつかみやすいので、ここで確実に得点しておきたいところです。
  
  小問(2)は、本件とは関連のない相談を受けた法人を相手方として、紛争解決手続代理業務を行うことについて、法第22条及び通達と法第16条との法令・通達間の均衡を考慮して、法的拘束を受けるべき事案かどうかを検討させる問題でやや難解な出題でした。
     前年と比較して、文章量は約40パーセント増加したものの、問題の難易度は、第1問は前回並み、第2問は平易化しています。

 
以上のことから、合格点は60点(但し第2問は10点以上)、合格率は70%と予想されます。