第5回 紛争解決手続代理業務試験 〔総 評 〕

第5回 紛争解決手続代理業務試験 〔総 評 〕
(特定社会保険労務士試験)

   第5回 紛争解決手続代理業務試験は、過去4回の試験と同様、大問2題、小問7題のすべて論述形式で、第1問が労働問題について労働者と使用者双方の言い分を読み取りながら解答するもの。第2問は特定社会保険労務士の権限と倫理に関して依頼者からの依頼を受任できるかどうかについて、結論と理由を答える問題という、従来どおりの出題です。出題スタイルや設問パターン、出題範囲に大きな変動はなく、過去問や当会の予想問題集および直前対策講座で十分に対応できる設問でした。  


第1問・・・
雇止めに関する問題は、第4回試験と同一のテーマであり、予想外ではあったものの過去問に目を通しておけば、容易に対応できる出題です。「求めるあっせんの内容」を記述する問題、労働者および使用者の立場に立って代理人として具体的主張事実を要約させる問題、本件についての妥当な解決方法(解決案)を提案する問題などは、これまでと同様の設問パターンであり、実務能力と法的理解を問うには、適正な判断のできる出題形式で今後もこの出題形式は続くと思われます。 


第2問・・・  特定社会保険労務士の権限と倫理に関する問題です。今回は、労働者派遣法に絡めた派遣元、派遣先、派遣労働者の三者間の複雑な関係を考えなければならず、社労士法の知識に加えて、派遣先の損害賠償責任についての民法又は派遣に関する告示の知識が必要となる設問です。従来の社労士法や同法に関連する通達の知識だけでは解決できない幅広い知識が要求されている点で難化しているといえます。依頼を受けることが「できる」「できない」ということよりも社労士法第22条(業務を行い得ない事件)の制限を受けるのか受けないのか、第16条(信用失墜行為の禁止)に抵触するかどうか、抵触すると考える場合どういった点がその可能性を秘めているのかなど、小問(1)(2)ともに結論よりもその理由の検討に重点が置かれた出題になっている点に特徴があります。   


 総合的にみて、文章量は約15パーセント減少しています。しかし字数指定問題の指定字数合計が前回の900字から1050字になったこと、第1問の(2)(3)の具体的主張事実の記載項目はどちらも前回の4項目から5項目になり全体として記述量が約
20パーセント増になりました。また、第2問が派遣元、派遣先、派遣労働者の3者間を考慮し、かつ社労士法及びその通達だけでは解答が困難な問題であったことから制限時間内での全問解答は難しかったのではないでしょうか。  前回と比較して、問題の難易度は、第1問は前回並み、第2問は難化しています。以上のことから、合格点は55点(但し第2問は10点以上)、合格率は70%と予想されます。

※これは、特定社労士研究会の見解であり、公式なものではありません。

 
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